芸能人はなぜ干されるのか 芸能界独占禁止法違反 星野陽平

結婚、不倫、闇営業。話題に事欠かない華やかな芸能界。テレビや女性週刊誌に理由あって載らない事実がある。芸能人はどのように生まれ、どのように消えていくのか。

 

「掟」は人がいる場所に存在する。国家、地域、会社。個人と個人においても有形、無形問わず「掟」がある。フリーランスという働き方が一般化し個人の裁量が増すこれから、自由に生きたいと思う人は読んでおいて損はないだろう。

 

冒頭「北野誠事件」からはじまり数人の芸能人が消えていった経緯について語られる。芸能人とは芸能事務所に所属するサラリーマンであり商品でもある。ここで語られる芸能人は一般の我々と何も変わらない。「独立する」とは所属していた事務所を辞め自分で個人事務所を立ち上げることを言う。

 

するとそう簡単に今までの仕事が続くというわけにもいかない。我々と同じく芸能界にも昔からの付き合いという商習慣があるようだ。会社の名前があるからこそ売れていたケースも多いのだ。

「芸能事務所の業界を例えて言えば、一番の次が百一番くらいから始まる状態。その一番のナベプロのなすがままだった」とはホリプロ創業者堀威夫の言葉。

 

「タレント は 所属事務所 を 独立してはならない」 「タレントは事務所の移籍をしはならない」 「タレントは所属事務所の指示に従わなければならない」星野 陽平. 増補新版 芸能人はなぜ干されるのか? (Kindle の位置No.1311-1312). 株式会社鹿砦社(ろくさいしゃ). Kindle 版. 

 

これが「 芸能界の掟」と呼ば れる芸能界に特有のルールだそうだ。そしてこのルールを作ったのが渡辺晋が創業した「ナベプロ」だ。

 

私はテレビを見なくなって久しいが一読後、メディアに登場する芸能人たちの背後にある力関係について考えるようになった。歯に衣着せぬ言動のあの人や、世相にするどく突っ込むあの人なども、実は芸能界の掟の中ではみださないよう上手に生きているのかもしれない、などと思うようになった。

本書を読み進めば戦後の芸能史を知れる。